電子書籍と紙の本は、同じ企画から同時に進められる
経営者や士業、専門家が本を出すなら、電子書籍と紙の本を最初から一つの企画として設計する方法があります。読者に伝える内容の核を共有しながら、それぞれの形式に合う原稿、表紙、販売情報を用意する進め方です。
ただし、「同時出版」は一つのファイルを登録すれば両方完成する、という意味ではありません。電子書籍と紙の本では、読みやすいレイアウト、必要な表紙データ、公開前の確認事項が異なります。また、公開日は審査や修正の状況にも左右されます。両方を並行して制作し、公開時期をそろえる計画を立てることが大切です。
この記事では、原稿がない段階からの進め方、自分で出版する場合と代行を利用する場合の違い、費用を確認するポイントを整理します。
経営者・士業・専門家が両方の形式を出す理由
電子書籍は、読者が購入後すぐに読み始めやすい形式です。一方、紙の本は、面談や講演の場で手に取ってもらったり、取引先や相談者に紹介したりする場面を想定できます。読者との接点が異なるため、同じテーマでも両方を用意する意義があります。
例えば、税理士が中小企業向けの資金繰りを解説する本なら、電子書籍は検索から見つけた経営者に届ける入口に、紙の本はセミナー後に内容を振り返ってもらう資料にできます。コンサルタントが事業承継について書く場合も、相談前に考え方を知ってもらう用途と、対面で渡す用途をそれぞれ設計できます。これらは活用例であり、出版だけで集客や成約が保証されるわけではありません。
本に載せる事例や専門情報は、公開後にも読まれます。短期的な宣伝文を並べるより、「誰が、どの課題を、どこまで解決できる本か」を明確にするほうが、読者にとっての価値が伝わります。
制作を始める前に決めたい5つのこと
- 読者:「経営者」のように広く置くのではなく、業種、事業規模、直面している課題まで具体化する。
- 本の目的:知識の普及、著者としての信頼形成、既存顧客への説明など、優先する目的を決める。
- 扱う範囲:一冊で答える中心的な問いを定め、関連する話題を詰め込みすぎない。
- 使える素材:講演資料、ブログ、ニュースレター、研修資料、過去の取材などを洗い出す。
- 著者の確認時間:取材、原稿確認、校正、最終承認に使える時間を確保する。
例えば「相続を解説する本」よりも、「事業を引き継ぐ予定の経営者が、専門家に相談する前に論点を整理できる本」のほうが、章立てや用語の説明レベルを決めやすくなります。出版前の企画が曖昧なままだと、原稿完成後に大きな修正が必要になり、期間にも費用にも影響します。
電子書籍と紙の本を同時出版する具体的な流れ
1.企画と目次を決める。想定読者の疑問を並べ、読む順番に合わせて章を組み立てます。著者が書きたいことと、読者が最初に知りたいことが一致しているかを確認します。
2.原稿を作る。著者が執筆する方法のほか、既存資料を再構成する方法、取材をもとに原稿化する方法があります。取材を使う場合でも、専門的な判断や事実関係は著者自身の確認が欠かせません。
3.編集と校正を行う。章ごとの重複を減らし、用語の表記をそろえ、読者が迷う箇所に説明を足します。士業の本では、法令や制度に触れる記述の基準日を確認し、個別事情によって結論が変わる箇所を明確にします。実名の事例や顧客情報を使う場合は、掲載の可否も確認します。
4.形式ごとにデータを整える。電子書籍では端末ごとの読みやすさを確認します。紙の本では、判型、余白、改ページ、図表の配置、背表紙を含む表紙などを確認します。同じ本文を使う場合でも、両方で別々の表示確認が必要です。
5.販売情報を登録し、公開前に確認する。タイトル、著者名、紹介文、カテゴリー、価格などを検討します。電子書籍と紙の本の情報に食い違いがないか、目次や表紙が意図どおりに表示されるかを確認してから公開します。
公開までの日数は、原稿の準備状況、著者の確認速度、修正回数、登録後の審査などで変わります。希望日がある場合は、公開日から逆算し、著者確認と修正の時間を工程に入れておきましょう。
「最短30日」で進めるために確認したい条件
cortis出版では、条件が整った案件について最短30日での出版を案内しています。ただし、すべての企画で30日以内の公開を約束するものではありません。特に、専門的な内容の事実確認、図表の制作、複数人による承認が必要な場合は、余裕のある日程が必要です。
短い期間で進めたい場合は、最初の相談までに「誰に読んでほしいか」「本で伝えたい結論」「使える資料」「公開希望時期」を整理しておくと、企画の検討を始めやすくなります。原稿がなくても相談できますが、取材後の内容確認と最終承認は著者にお願いする工程です。
自分で出版するか、出版代行を利用するか
自分で進める場合は、企画、執筆、編集、表紙、電子書籍用データ、紙書籍用データ、登録、公開後の修正まで管理します。各工程を自分の判断で進められる一方、電子書籍と紙の本を並行して準備する時間も必要です。
出版代行を利用する場合は、依頼範囲に応じて編集や制作、登録作業の支援を受けられます。ただし「代行」に含まれる作業はサービスやプランによって異なります。取材からの原稿作成、校正の回数、紙の本への対応、公開後の修正まで含まれるかを、見積もりで確認してください。比較の観点は出版代行とは?費用・選び方でも解説しています。
特に経営者や専門家は、制作作業を任せられても、専門的な主張や事例の掲載判断まで手放すことはできません。著者が判断する工程と、制作側が担当する工程を最初に分けることが、円滑な進行につながります。
出版代行の費用で見るべき項目
cortis出版の出版代行は10万円(税込)からです。費用を見る際は、開始価格だけで判断せず、自分の企画に必要な作業が見積もりに含まれるかを確認しましょう。原稿が完成している案件と、取材から原稿を作る案件では、必要な工程が異なります。
- 電子書籍と紙の本の両方の制作が対象か
- 取材、構成、原稿作成、編集、校正の担当範囲
- 表紙制作と修正の範囲
- 図表、写真、引用資料の扱い
- 登録作業と、公開後に修正が必要になった場合の対応
- 著者が用意する資料と、著者が確認するタイミング
複数社を比べる場合も、合計金額だけでなく、この作業範囲をそろえて比較することが大切です。依頼先を選ぶ際の確認点はKDP出版代行おすすめ比較も参考にしてください。
cortis出版では、印税は100%著者に帰属する方針です。これは販売価格の全額が著者の手取りになるという意味ではありません。販売時に適用されるプラットフォームの条件や紙の本の印刷費用などと、代行会社への報酬を分けて確認してください。
公開前チェックリスト
- タイトル、著者名、紹介文が電子書籍と紙の本で一致している
- 目次から本文まで通して読み、章の順番と参照先を確認した
- 電子書籍を複数の画面サイズで確認した
- 紙の本の改ページ、余白、図表、ページ番号を確認した
- 表紙の文字が縮小表示でも読める
- 引用、画像、事例について掲載できる権利や許可を確認した
- 制度や統計の記述について、出典と確認時点を記録した
- 価格と販売情報を著者が最終承認した
- 本を読んだ人の問い合わせ先を載せる場合、その表記とリンク先を確認した
専門書では、内容の正確さが著者への信頼に直結します。体裁の確認に加え、事実関係や権利関係の確認にも時間を充ててください。
よくある質問
Q.原稿がなくても、電子書籍と紙の本を出せますか?
はい。企画の相談から始め、取材や既存資料をもとに原稿を作る進め方があります。必要な取材回数や原稿作成の範囲は、相談時に確認してください。
Q.ブログや講演資料を本にできますか?
素材として活用できます。ただし、記事やスライドを並べるだけでは、初めて読む人にとって説明が不足する場合があります。読者と本の目的に合わせ、構成の組み直しや加筆を検討します。
Q.電子書籍と紙の本は必ず同じ日に公開できますか?
同じ時期の公開を目指して制作できますが、各形式の確認や公開までの処理状況によって日付がずれる可能性があります。特定の日に両方を使いたい場合は、余裕を持った日程を相談してください。
Q.紙の本の在庫を持つ必要がありますか?
採用する出版方式によります。紙の本の販売方法、著者用の冊子が必要か、必要な場合の入手方法と費用を、制作前に確認しましょう。
Q.出版後に内容を直せますか?
修正は可能ですが、修正する内容や形式によって必要な作業が変わります。制度改正などで更新を予定している本は、出版前に更新方針も決めておくと管理しやすくなります。
Q.本を出せば相談や問い合わせは増えますか?
出版だけで成果は保証されません。想定読者に届くテーマを選び、本の内容と著者の事業との関係を明確にしたうえで、必要なら著者サイトや問い合わせ先への導線を整えることが大切です。
まとめ:両方の形式を見据えて企画する
電子書籍と紙の本を同時に進めるなら、最初に読者と本の目的を定め、共通の原稿を作りながら形式ごとの制作・確認を行います。費用や期間を比較するときは、原稿の準備状況、代行の作業範囲、著者自身の確認工程まで含めて判断してください。
cortis出版では、電子書籍と紙の本の出版を検討している経営者・士業・専門家の方から、原稿がない段階の相談も受け付けています。企画の内容、必要な作業、費用と日程の見通しを整理したい方は、無料出版相談はこちらからお問い合わせください。
