2025年6月発効|KDPプリント:印税条件と印刷費の見直し

Kindle Direct Publishing(KDP)の公式イラスト。印税率変更と印刷費見直しのニュース解説のヘッダー画像。
出典:kdp.amazon.com

KDPは2025-06-10(UTC)から、各マーケットの所定しきい値以下のリスト価格に設定されたプリント本(ペーパーバック/ハードカバー)の印税率を60%から50%へ改定しました。併せて、一部マーケットでカラー印刷費の減額が実施されています。本記事では、しきい値・最小リスト価格・収益計画への影響を、実務観点で整理します。

公開日(JST):2025-06-10 最終更新:2025-09-03 カテゴリ:出版・KDP 最新ニュース

ニュース概要

公式FAQとロイヤルティページから読み取れる要点です。

  • 発効日:2025-06-10 00:00(UTC)。
  • 対象:プリント本(ペーパーバック/ハードカバー)のうち、各マーケットの所定しきい値以下の価格帯。
  • 変更:該当タイトルの印税率が60%→50%に。
  • 代表的なしきい値:US 9.98USD/UK 7.98GBP/EU 9.98EUR/CA 13.98CAD/AU 13.98AUD/JP 999JPY(1000円以上は60%)。
  • 補足:年次見直しとして、ペーパーバックのカラー印刷費を一部マーケットで減額

公式発表の要点(一次情報)

FAQでは、低価格帯タイトルの継続提供と全体への影響回避を目的として、しきい値以下のタイトルの印税率を50%に再設計したとあります。適用は2025-06-10、マーケット別しきい値(例:Amazon.co.jpは999円以下で50%1000円以上で60%)が明示されています。印刷費は別途差し引かれ、最小リスト価格は印刷費と印税率から算出されます。

変更点/影響範囲

  • しきい値未満では印税率が50%、しきい値以上60%を維持。
  • 印税率が50%の場合、同一印刷費でも最小リスト価格が上がりやすい点に注意。
  • カラー印刷費の一部減額により、図版の多い書籍で採用検討の余地。

よくある誤解

  • 「すべてのプリント本が50%」ではない:対象はしきい値以下の価格帯のみ。
  • eBook印税は対象外:今回の変更はプリント本限定。
  • 拡張流通(40%)は別枠で、今回の見直しとは無関係。

影響と背景(業界・ユーザー・運用)

原材料・物流コストの上昇と低価格ニーズの両立を図る再設計と読み取れます。実務では、しきい値付近の価格において「60%維持(価格をしきい値以上へ)」「50%適用(据え置き)」のトレードオフが発生。税込表示や為替の影響が大きい国では市場別に最適点が分かれやすく、マーケット別の価格最適化が重要です。カラー印刷費の一部減額は、教育・実用・ビジュアル系での品質と利益の両立検討に追い風です。

実務ポイント(誰が/いつまでに/何を)

  • 出版担当/今週中:全タイトルの各マーケット価格を棚卸。しきい値以上で60%維持になっているか確認(日本は1,000円以上が目安)。
  • 経理/今週中:収益モデルを更新(60%ケース/50%ケース+印刷費見直し)。
  • 編集・デザイン/次版から:図版の多い書籍はカラー採用の是非を再評価(対象市場の減額を考慮)。
  • マーケ/今月内:必要に応じて読者向けQ&Aと告知文を準備。
  • 運用/随時:公式計算ツールで最小リスト価格と利益ラインを確認。
  • 国際展開/今週中:US/UK/EU/JP等で価格弾力性をABテストし、販売量と利益率の最適点を探索。

出典

  1. Print Royalty Rate and Paperback Printing Cost Changes FAQ(公式)
  2. Paperback Royalty(公式)
  3. Paperback Printing Cost(公式)
  4. Printing Costs & Royalty Calculator(公式)

▶ 2025年9月の最新マーケティングニュース特集 一覧はこちら

出版・KDPの運用を強化しませんか?

価格最適化・利益設計のチェックリストと最新記事をまとめてお届けします。

9月特集を見る

このカテゴリの新着(直近)

全カテゴリの新着(直近)