
SalesforceはFY26第2四半期で増収・高利益率を維持し、顧客接点の再設計を進めています。中心にあるのは「Agentforce」に代表されるエージェント活用。投資家には収益の安定性、経営層・実務家にはCRM自動化の実効性という二つのベネフィットを提示しました。本稿では決算の読み解きから実務影響、導入の手順までを長文で整理します。
FY26 Q2 決算ハイライト
- 売上高:約102億ドル(前年比+10%)
- CRPO:294億ドル(前年比+11%)
- 非GAAP営業利益率:34.3%(前年同期比+2.1pt)
- 株主還元:自己株買いを継続し資本効率を改善
「データとエージェントの活用が、顧客体験と株主価値の双方を押し上げている」── Marc Benioff, CEO(要旨)
顧客戦略を変える「エージェント運用」の核心
FAB(Feature / Advantage / Benefit)
- Feature:運用の可視化「Optimization」、Slack・Data Cloud連携、業界別テンプレート。
- Advantage:定型業務の移管で人材は関係構築や提案活動へ集中。
- Benefit:CSATと解決速度を両立し、解約率・機会損失の低減に寄与。
PASTOR(課題→変革)
- Problem:一次応答の遅延、FAQの属人化、コストの増加。
- Amplify:対応遅延はLTVの毀損に直結。
- Story:一部業務からエージェント化→Optimizationで学習→拡張の反復。
- Transformation:「記録するCRM」から「対話するCRM」へ。
- Offer:業界別テンプレート+設定ドリブンで初期工数を抑制。
- Response:FAQ・ルーティング・ケース分類から開始。
従来CRM vs エージェント活用後
指標 | 従来CRM | エージェント活用後 |
---|---|---|
応答時間 | 営業時間中心・人手依存 | 24/7の一次対応で初動が安定 |
担当者負荷 | FAQ・定型処理が集中 | 定型を移管し、人は価値創出業務へ |
導入・運用工数 | シナリオ都度改修が負担 | 可観測性に基づき短サイクル改善 |
コスト構造 | 人件費と比例して上昇 | 自動化比率上昇でスケール効率改善 |
実務インパクト:投資家/経営層/現場の着眼点
投資家
- AI・データ領域のARR拡大とCRPOの堅調さが中期の収益耐性を示唆。
- 買い戻し継続と成長投資のバランスが評価ポイント。
経営層
- 一次応答自動化でCSコストと対応のばらつきを抑制。
- 部門横断のデータ連携で意思決定を迅速化。
現場(マーケ・セールス・CS)
- FAQ・見積・ルーティングから始めると効果が読みやすい。
- Optimizationでボトルネックを可視化し、改善の連鎖を作る。
導入チェックリスト(最短で効果を出すために)
- 対象プロセスの定義(例:問い合わせ一次応答/ケース分類)。
- ナレッジ整備(FAQ・ポリシー・Data Cloud連携)。
- KPI設定(一次解決率・平均処理時間・CSAT・解約率)。
- ガバナンス(人の最終確認・責任分界・ログ保全)。
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